性病について
※女性の方は婦人科へ。
(但し、喉の淋菌・クラミジア、梅毒の検査は女性の方でも当院で検査可能)
性行為に伴う粘膜や皮膚、陰毛の接触を介して細菌、ウイルス、寄生虫などが感染する病気の総称です。自覚症状が乏しかったり、パートナー間で症状のあらわれ方に大きな差があったりして、気づかずに感染が広がってしまうことがあります。もっとも危険なのが不特定の相手との性交渉で、性病のリスクを確実に高めます。
性行為の多様化(オーラルセックスや肛門性交など)に伴ってクラミジア感染症や淋菌感染症が咽頭炎を起こしたり、性器ヘルペスやコンジローマで肛門周辺に症状が現れたりすることも多くなってきました。
性行為感染症のほとんどは簡単な検査で診断でき、また適切な治療で完治できます。外陰部にしこりがある、かゆみや痛みを感じる、できものができた、排尿時に違和感があるなどの異常を感じた場合には、早めに医療機関を受診しましょう。性病を放置しておくと男女間でお互いを感染させ合うピンポン感染のおそれがあるため、パートナー両者ともに治療を行うことが大切です。
女性の方は婦人科をお勧めしています。
但し、喉の性病検査、梅毒の検査は男女問わず可能です。
おもな性病
クラミジア感染症
クラミジア・トラコマティスという細菌が感染して起こります。若年層、とくに10代の女性の感染率が高いといわれています。オーラルセックスによる咽頭への感染、咽頭から尿道への感染も少なくありません。感染してから症状が出るまでの潜伏期間は1〜3週間です。
症状は比較的軽微で、軽い排尿痛とともに尿道から透明な分泌液が出ます。感染してもまったく無症状のケースも多く見受けられます。無症状であるケースが多いため、治療することもなく感染源になっているケースが懸念されます。ある調査では無症状の20歳代男性の4〜5%にクラミジアが発見されています。女性も半数以上が無症状です。菌がおなかの内部に侵入して子宮付属器炎(卵管炎や卵巣炎)や骨盤腹膜炎を発症すると、腹部痛を訴えるよいになることもあります。知らない間に卵管周辺の癒着を起こし、将来的に不妊や子宮外妊娠のリスクが高まることも懸念されます。
治療は抗菌薬の内服です。感染を避けるためには、不特定の相手との性交渉はしない、コンドームを使用するなどです。
淋菌感染症
淋菌の感染によって起こる病気です。潜伏期間は2〜7日ほどです。感染すると男性はおもに淋菌性尿道炎を発症し、強い排尿痛とともに黄色い分泌物が尿道から出ます。女性はおもに子宮頸管炎を発症します。比較的症状は軽微で自覚症状がないこともあります。
治療は抗生物質の内服と筋肉内注射を併用します。これは、近年、従来の抗生物質が効かない薬剤耐性菌が増えているためです。これらの抗生物質は、同時感染が多く見られるクラミジア菌も死滅させます。
性器ヘルペス
単純ヘルペスウイルス(HSV)の感染によって性器やその周辺に水疱、潰瘍などができる病気です。初感染時には発熱や強い倦怠感、リンパ節の腫れ、強い疼痛などの急性症状を呈することがあります。投薬で症状は治まってもHSVが神経節に潜伏し、時に活性化し長年にわたって再発を繰り返します。
治療には抗ウイルス薬を経口または静脈注射で投与します。症状が軽い再発時には軟膏を塗布することもあります。
尖圭コンジローマ
ヒトパピローマウイルス(HPV)感染によって肛門周辺や外陰部にざらざらしたカリフラワー様のイボが多発するなどの症状が出ます。痛みやかゆみはほとんど感じません。外科的切除、液体窒素による凍結療法、電気焼灼法、CO2レーザーなどの治療法が用いられてきましたが、塗り薬による治療が可能になりました。
梅毒
梅毒トレポネーマの感染で起こります。梅毒は潜伏期と顕症期を繰り返しながら1〜4期と段階的に進行します。
第1期には感染部位に小豆大の硬いしこりがあらわれます。男性では亀頭・包皮・冠状溝、女性では大小陰唇、おもに肛門性交を主とする場合には肛門周囲です。痛みはありません。この後リンパ節の膨らみが見られますが、2、3週間でこれらの症状は消えます。
3ヵ月ほどで第2期に移行して症状は全身に広がり、体幹部や手のひらの発疹や斑点、陰部のイボ、脱毛、膿などの多彩な症状が現れます。これも3年ほどで自然に消えます。
3、4期の末期に入るとゴム腫という梅毒特有の腫瘍が身体の表面、肝臓、睾丸、大動脈などに発生し、やがて多くの臓器に腫瘍が広がって脳や神経が冒されるようになります。
ペニシリン系の抗生物質で完治が可能です。期が進むにつれ治療期間は長引きますので、早期の治療開始が重要です。
毛じらみ
感染すると1〜2ヵ月で陰毛にかゆみを感じます。肛門周囲や腋毛、大腿部の短毛などにも寄生してかゆみを起こします。眉毛やまつ毛に寄生することもあり、まつ毛に寄生すると目やにのように見えることがあります。稀に頭髪にも寄生します。かゆみの原因は毛じらみの唾液に対するアレルギー反応だと考えられています。
成虫は3〜4週間生存して、その間に30〜40個の卵を産んで増えていきます。
もっとも簡単な治療法は剃毛です。しかし、さまざまな部位に寄生してしまっている場合、すべての毛を剃ってしまうことは困難なことも多いでしょう。剃毛ができない場合には、毛ジラミ退治のシャンプーを使用します。ただし、これは卵には効きません。卵は1週間前後で孵化するため、3、4日ごとに3〜4回シャンプーを繰り返して根治します。
性病かなと思ったら
「もしかして性病かもしれない?」と思っても、恥ずかしさが先に立ったり、検査内容や費用が不安だったりして病院に行きづらいという方もいらっしゃるでしょう。
一般に病気は早期発見・早期治療が重要なことはいうまでもありません。それは性感染症も同じです。それに加えて、性感染症では感染を拡げないことも重要です。
性感染症治療で大事なのは自分とパートナーの将来を守るということです。自分だけ治療しても、パートナーが感染したままでは再感染を繰り返すだけで、両人ともに長い間苦しまなければなりません。また、治療せずに放置したままでいると、女性が将来的に不妊になったり子宮外妊娠・流産しやすくなるリスクも指摘されています。
普段と違う違和感を覚えたら、ためらわずに受診し検査をしましょう。
※女性の方は婦人科へ。
但し、喉の淋菌・クラミジア、梅毒の検査は女性の方でも当院でできます。