子供の泌尿器科

お子さんの泌尿器科について

お子さんの泌尿器科についてお子さんの健康はいくら気にしててもしすぎるということはありませんね。お子さんは大人ほど上手に症状を伝えることができませんから、なおさら心配です。
泌尿器科で多くの親御さんが悩まれているのがおもらしや夜尿症(おねしょ)などの排尿関係と、男児の包茎や性器の形態に関するものです。おもらしや夜尿症は幼いうちは仕方がないといっても、じゃあいつまでなら問題ないのか、性器に関しても将来子どもが困るようなことはないのかなど、心配のタネは尽きません。
昼間におもらしをする、頻尿(1日8回以上)や稀尿(1日3回以下)がある、尿が途切れる、尿の勢いが弱い、排尿時におなかに力を入れている、尿の出始めに時間がかかるといった症状が見られるようでしたら、一度お子さんと一緒に泌尿器科を受診してみましょう。
男児の性器の形態についても、親御さんが「あれ?」と思うようなことがあれば、いろいろと思い悩む前にまずは泌尿器科医に相談してみましょう。お子さんを守り、健全な発育をうながしてあげられるのは、親御さんならではの鋭い観察眼と、速やかに医療の専門家に相談に行く積極的な行動です。

よくある症状

お子さんに、こんな症状が見られるようなら、一度泌尿器科にご相談ください。

  • おしっこの色が変わった(赤、茶、白など)
  • 急に睾丸が腫れて、触ると痛がる
  • 頻繁におしっこに行く(1日8回以上)
  • おねしょが治らない(夜尿症)
  • 包茎かどうかが気になる
  • おちんちんの先が腫れて、痛がる(亀頭包皮炎)

排尿障害

お子さんの排尿障害について、昼間のおもらし(尿失禁)はおねしょ(夜尿症)も伴うことが多いのですが、夜尿症だけのケースは原因や治療法が異なるため、区別して考えます。
昼間の尿失禁はおもらし、尿をちびる、おしっこががまんできないといった排尿障害がおもなものです。これらは膀胱・尿道に、神経障害、形態異常、機能障害などの何らかの問題があるケースをよく見受けます。
神経障害では、子どもでは二分脊椎という先天的な脊髄の病気がよく見られます。また、先天的に尿道の形態が狭い後部尿道弁という形態異常が見られることがあります。
しかし、昼間のおもらしでもっとも多いのが、膀胱の機能に異常をきたす排尿障害です。膀胱がリラックスして尿をためる段階と、膀胱が縮んで尿を出す段階で、尿の出口は連動して閉じたり開いたりします。この一連の動作がうまくいかないものです。先天的な病気や形態異常がなければ、成長とともに改善するケースがほとんどです。
ただ、昼間のおもらしを放置しておくと、再三にわたって尿路感染症にかかったり、腎障害を引き起こすリスクもあるので、早めに専門医による診断と治療が必要です。

夜尿症

夜尿症乳幼児期の夜尿を「おねしょ」といいますが、5歳以降で月1回以上のおねしょが3か月以上続くものは「夜尿症」と定義されています。
おねしょ(夜尿症)は、就寝中につくられる尿の量と、尿をためる膀胱の大きさのバランスがとれていないために起こります。したがって、年齢が上がって成長すれば自然と治ってきます。4〜5歳では70〜80%のお子さんが夜尿から卒業しますが、小学校入学時でも10〜15%には夜尿が見られます。生理的な体の発達には個人差があるためで、いずれもやがて夜尿は解消されます。とはいえ、年長さんや小学生にもなると外泊などの行事があったりするため、おねしょが気になることもあるでしょう。
夜尿症の原因には、尿の量と膀胱の大きさのアンバランスのほかに、尿意で目をさますことができない覚醒障害がある、膀胱の働きが未熟である、夜間の尿量が異常に多いなど、いくつかの原因が複合的に関連しています。
しかし最近は、原因に応じた治療法ができています。生活指導や行動療法、内服薬による治療法などの適切な治療を継続的に行うことで、夜尿の頻度を減らしたり、いち早く夜尿から卒業することも期待できます。お気軽に泌尿科にご相談ください。

包茎

亀頭部が、かわ(包皮)に覆われた状態を包茎といいます。お子さんが包茎だと心配されるお母さんが多くいらっしゃいますが、まず心配は無用です。小児期のペニスは包茎が正常です。通常、生殖器が急成長する思春期まで包茎状態は続きます。
手で包皮を反転させようとしても亀頭部が露出しなかったり、まったく見えてこないものを真性包茎といい、むいて亀頭を露出させることができるものを仮性包茎といいます。しかし、これは成長後の話で、幼児期では包皮と亀頭表面が分離しないでくっついているのが正常なため、子どもの場合、真性包茎・仮性包茎といった区別は無意味だといえます。
真性包茎の場合、包皮の下に恥垢が溜まり不潔ではないかと考えられがちですが、これもやがて隙間ができるようになって剥がれ落ちますので、剥き洗いなどは無用です。この時期の恥垢には細菌の付着などはなく、恥垢があることで包皮と亀頭の分離が進むとも考えられています。無理に剥こうとすれば痛みを与えるだけだったり、カントン包茎にしてしまうリスクもあります。
しかし、包茎の治療が必要なケースもあります。

  • 包皮が排尿の妨げになっている場合
  • 亀頭包皮炎を繰り返す場合
  • 尿路感染症を起こしやすい場合
  • 無理に剥いてしまったためにカントン包茎を起こして亀頭が締め付けられている場合

など

治療が必要な場合には、簡単にむけるようになる排尿方法の指導と副腎皮質ホルモンの外用療法を行っています。

亀頭包皮炎

3歳ころから亀頭や包皮の先端が赤く腫れて痛がる症状が出ることがあります。これは亀頭包皮炎という亀頭や包皮の炎症です。包皮から白い膿が出ることもあります。亀頭と包皮の間が洗えないで不衛生になり細菌が繁殖することも原因の一つですが、不潔な手でおちんちんを触るなども炎症の原因となります。
抗菌薬の内服や軟膏でよくなりますし、軽度であれば温浴(シャワーや洗面器のお湯でおちんちんを洗います)などで改善します。
ただし、年に何度も亀頭包皮炎を繰り返すようであれば、包茎の治療を検討する場合もあります。