皮膚腫瘍

皮膚腫瘍とは

皮膚腫瘍とは皮膚腫瘍は、良性腫瘍と悪性腫瘍(皮膚がん)に大きく分けられます。良性腫瘍は、ほくろ、粉瘤、脂肪腫、脂漏性角化症などです。悪性腫瘍には、悪性黒色腫(メラノーマ)、基底細胞がん、ボーエン病などがあります。皮膚がんには、ほくろ、いぼ、湿疹などと見紛うものも多いため、早めに皮膚科専門医の診察を受けて腫瘍の実相を突き止めておく必要があります。
当院では早期の診断と適切な治療を心掛けています。重篤な症状に対しては適切な医療機関のご紹介もできますので、まずはお気軽にご相談ください。

おもな皮膚腫瘍

ほくろ

ほくろは母斑細胞(ほくろ細胞)が増えて生じる良性の腫瘍です。母斑細胞はメラニンを持っているため、茶褐色から黒色を呈しています。生まれつきある先天性のほくろと、成長過程で生じてくる後天性のほくろがあります。ドーム状に膨らむもの、表面がデコボコして柔らかく膨らむもの、盛り上がりがなく平らなものなど、形もさまざまです。大きさは通常は径5mm以下のものがほとんどです。万が一それ以上のサイズで徐々に大きくなってくるものがあればメラノーマ(悪性黒色腫。ほくろのがんと呼ばれています)のおそれがありますので、できるだけ速やかに皮膚科を受診してください。

脂漏性角化症

老化によって生じるいぼで、老人性疣贅(ゆうぜい)ともいわれています。しみ(老人性色素斑)から盛り上がってくることが多く、顔面や頭部、体幹などさまざまな部位に現れる良性腫瘍です。直径は1〜2cm程度までで、褐色や黒褐色を呈しています。通常、かゆみや痛みはありません。とくに治療が必要なものではありませんが、加齢とともに増加していきます。凍結療法による脱落除去や外科的切除で治療することができますので、美容的に気になるようであれば早めの処置をおすすめします。

脂肪種

脂肪組織からなる良性の腫瘍で、背中や肩、おしりのまわりの皮下組織(皮膚と筋肉の間)によく見られます。また、筋肉の中や骨など体の深部にも発生します。痛みを伴ったり運動障害を引き起こしたりすることはほとんどありません。大きさは5cm前後のことが多いのですが、中には10~20cmのものも見受けられます。大きなものや短期間に成長するものの場合、悪性の脂肪肉腫のおそれもあります。組織を採取して鑑別する必要があります。
脂肪腫の治療は手術による摘出です。小さいものなら当院にて局所麻酔下での手術が可能です。

アクロコルドン

アクロコルドンは、首や腋の下などの柔らかい皮膚にブツブツと多数発生する、3mm以下の小さないぼです。良性の腫瘍のなかでも非常に小さいのが特長です。加齢による皮膚の変化の一種で、年齢とともに数が増えたり、突起が大きくなったりします。
色は肌色から濃い褐色までさまざまです。炎症を起こしたり、美容的に気になったりするようであれば、治療を行います。液体窒素による凍結除去や、メスやハサミで切除します(局所麻酔)。

石灰化上皮種

皮膚の一部が石灰のように硬くなる、良性の皮下腫瘍です。子どもや比較的若い方のまぶたや腕、首などに発生することが多く見られます。ほぼ無症状ですが、押すと痛みを感じることがあります。
悪性腫瘍と同じように硬く表面がデコボコしているため鑑別がつきにくいケースがあり、外科的に切除することが望ましいとされています。摘出した組織は、病理検査をして確定診断をつけます。ほとんどのケースで、手術は局所麻酔による日帰り手術が可能です。